傾聴とは、字のごとく「耳」「目」「心」を相手に傾けて話を聴くコミュニケーションのテクニックです。
相手との信頼関係を築くだけでなく、傾聴を通して気づかなかったことを知り、感情のコントロールや成長を促すきっかけも作ります。
またこの「傾聴」のテクニックは人事面談や、チーム内の意思疎通を活性化するためにも大きなメリットをもたらします。
社員を管理する立場では必須のテクニックですが、部下の立場でもこのテクニックが長けていれば商談をまとめたり、上司への提案も上手くなるでしょう。
この記事を通して、あらゆる場面で使える「傾聴」を気にして頂けたら幸いです。
この記事でわかること
②傾聴のやり方7選と得られるメリット
③まとめ
①傾聴の目的
傾聴は単に「要点を理解する」「答えに導くように質問する」といった「聞く」「訊く」などの漢字の意味とは少し違います。
傾聴の目的は「相手を理解すること」「相手が伝えたいこと」までたどり着くことを目的としています。
傾聴では「聴」の漢字の通り、相手のメッセージに「耳を傾け」表情やジェスチャー、声の雰囲気など「目で相手を理解」し相手の言葉に込められた「心情」に心を配って体全体を使い共感の姿勢を示します。
傾聴の姿勢を示すことで、相手側も理解してくれるように心を開いてきます。
傾聴を行い信頼関係を築けた上で、相手自身が自発的に納得できる結論まで導くことが大きな目的です。
ビジネスシーンでの活用では、お客さまへの傾聴です。
お客様自身も言語化できていない、潜在的に持っている要望を引き出した時に信頼関係が築け、商品が売れます。
もう1つが社内コミュニケーション、立場関係なく傾聴の姿勢を示せることは仕事を理解することにもつながります。
人と仕事をお互いに理解すれば、どちらも自己肯定感が高まりモチベーション向上や、人間関係の円滑なコミュニケーションにも一役買うでしょう。
②傾聴のやり方7選と得られるメリット
傾聴には抑えておくべき前提が2つあります。
・自ら成長する事、自分の力で解決し実現する力を持つ。
・解決するのは自分自身、成長や問題解決の主体は常に自分自身にある事。
2つのポイントとしては常に自分軸で相手に考えさせて、相手が実現可能なアクションまで深掘りすることが重要です。
■傾聴の具体的な方法7選とそのメリット
1・相手の気持ちを汲み取る
相手の話、声や表情、目線や仕草などから相手がどんな心情なのかを汲み取ります。
喜怒哀楽のどの状態かだけでなく、アクションにつながる心の変化も感じ取りましょう。
例えば
・落ち込み
・不安
・諦め
・羞恥
・もどかしい
・意志の強さ
・憧れ
・迷い
など、細かい変化を声や仕草、目線などから汲み取り理解することは傾聴において非常に有効です。
第一段階としては「観察」に近いです。
この時点で、相手に何かを伝えることはできません。
「相手の気持ちを汲みとり、丁寧に行うこと」を意識します。
この行為が気持ちを理解したことを示す時に効果を発揮します。
気をつけるべき点は、相手の心情に「善悪」や「好き嫌い」など主観の判断を加えることは避けましょう。
2・おうむ返し、反復
相手の話から汲み取った言葉や心情を、こちらからも言ってあげて共感していることを示します。
例えば「できなくて申し訳ないです」と言われたら「できなくて申し訳ないのですね」など、おうむ返しすることです。
おうむ返しや気持ちの反復により、「しっかり伝わってる」「聞こうとしてくれている」という姿勢が伝わるので相手に安心感を与えます。
これは言葉だけではなく、相手のリアクションやテンションも相手に合わせて聴く姿勢を示します。
例えば、相手が笑えばこちらも笑う、ちょっと落ち込んでそうならば少し落ち着いた雰囲気で聴く。
また、言葉以外から汲み取れる雰囲気があればそれをこちらが「言葉」にして伝えるのも効果的です。
相手が緊張している雰囲気だが、目がワクワクしていたり声にハリがある状態であれば、「気分がよさそうですね」や「明るい感じが出てますね」など声かけをして、相手の気持ちを反復すると良いでしょう。
3・相手の話しに出てくるキーワードを言い換えて話に組み込む
これは、聞き手が「理解している」ことをさらに示すテクニックです。
相手の話の中で出てきた出来事やキーワードなどを、別の言葉に変換して再度会話に盛り込むことで、「聴き手が自身を理解してくれてる」「話の内容が、誰の感情、体験なのかを明確にして気づかせる」このような効果があります。
例えば、
「注意不足で、壊してしまいました。」
「そうだったんですね、気をつけないと、壊れそうですもんね」
「急な会議で準備に焦りました」
「急な召集だとびっくりしますよね」など
このように言い換えることを「パラフレーズ」と言います。
このパラフレーズの原則は「意味を変えずに別の表現をする」ことと、「〇〇だったのですね」というように、主語を意図的に気持ちを代弁するような言葉に作り変えることです。
パラフレーズを使えば単調な会話、おうむ返しにも変化をつけることができ、会話にリズムが生まれて相手の心情を深掘りすることも可能です。
4・問題点を、気づかせる。少しずつ明確にする。
ポイントは正解を焦らず、相手自身に気づかせること。
こちらからヒントを与えてしまっては信頼関係は築けません。
悩みや問題がある場合は解決する糸口も定まっていない状況です。
そこで悩みや問題点を深掘りする質問を繰り返します。
・今までも同じだったの?
・それからどうしたの?
・もっと詳しく話してもらえる?
など、話の続きを促す質問を会話に盛り込みます。
そうすることで、何が問題でどうすれば良さそうか、話している本人が徐々に気づいてきます。
本人が気づいて、本人の口から解決のキーワードを言ってもらう事が重要です。
この質問で出てきた、出来事や登場人物の心情、キーワードはおうむ返しや気持ちの反復、パラフレーズなどを併用して会話に反応し、キャッチボールが続くようにするのがポイントです。
5・沈黙、思考停止した際の対処
会話をしている最中に、話が詰まり沈黙したり相手が感情的になりすぎて、話がヒートアップする時もあるでしょう。
沈黙、思考停止の場合は相手の様子をじっくり落ち着いて観察しましょう。
・考えを巡らせているか
・不安なのか
・落ち着いているのか
などを見極め、相手が話し出すのをゆっくり待つ、沈黙の時間が長すぎるのであれば、気持ちを反復して少し話してみるといった対応に移りましょう。
丁寧な観察とゆっくりした対応は、相手の思考をフラットに戻す効果があります。
相手が感情的になっているときは相手を落ち着かせることから始めましょう。
まずは感情を全て出させるために、相槌や反復で共感を示して相手の冷静さを取り戻してもらうことに集中します。
クレーム対応などもこの姿勢は効果的です。
6・相手が最も問題と感じている内容に注目する。
傾聴のポイントは、「問題解決の糸口を自分で見つけること」それを見つけるためには、話し手が最も問題と感じる部分までたどり着くようにします。
相手の悩みや問題を聴いていき、「その悩みや問題についてどう考えているのか」までたどり着いたら、「実際どうしたいのか」という前向きな方向に話を促します。
重要なのは実行可能なアクションまで絞り込むことです。
「どうしたいのか」の段階では、他力で解決する思考が多々含まれます。
原因が話し手本人にあっても、こちらから改善を要求したり急いで結論を出そうとすることは避けましょう。
聴き手が結論を急がなければ、相手との信頼関係を築いたまま解決案につなげることができます。
他力で解決してしまっては、話し手の成長を妨げ根本的な解決になりません。
時間はかかりますが、話し手が自身の思考で解決に至るまで辛抱強くまち、問題点をブラさずに話を整理して聴きましょう。
7・相手が主体的に行なっている事に注目する
傾聴していてよくあることが、話し手が本来の問題点に気づけていないことです。
例えば、売上が上がらない問題点が「接客」であっても、話し手が問題点は「商品」にあると言って、自分の意見を言っていたとします。
その場合でも聴き手は一旦、主たる問題点「接客」を脇に置き話し手の主張、主体的に行なっている事に注目して話を聴かなければなりません。
確かに論点がずれてそうな場面で、話を切り替えて主たる問題を展開させれば、問題解決の最短距離になります。
緊急性のある指示や場面では必要なこともあるでしょう。
しかし、傾聴の目的は相手に気づかせて問題を解決することです。
少し筋違いな話でも、話し手がそう思う根拠を聴き理解を示し、気持ちを汲み取ってサポートをしましょう。
そして、話し手が自分軸での意見を言うようになり、本来気づいて欲しい問題まで導いていくことが根本的な解決になります。
これにより、信頼関係が増すメリットにもなるでしょう。
③まとめ
今回は傾聴についてご紹介いたしました。
ビジネスだけでなく、プライベートのコミュニケーションでも使えるスキルかと思います。
社内の多くの問題は人間関係から発生すると言っても過言ではありません。
組織の成長をコミュニケーションもかけわせて解決するためにこの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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