対話を大切にした評価面談やミーティング前のアイスブレイクなど、コミュニケーションに気をつかっているけどいまいち意思疎通が生まれない、または話す内容も形骸化して面談の効果が実感できないと感じる時はありませんか?
従業員とのコミュニケーションをとる仕組みは様々あります。
そこで今回は対話手法の1つである「1on1」ミーティングという仕組みをご紹介致します。
この記事でわかること
②「1on1」の進め方
③コミュニケーションで起きやすい失敗事例
④まとめ
「1on1」の定義と評価面談との違い
まず「1on1」という会話手法はシリコンバレーの多くの企業で行われており、日本の企業でも注目されはじめています。
上司と部下が1対1で話す気軽なミーティングを意味していて、日頃から業務の成功体験や失敗など、仕事に関する話を「フランクな雰囲気」で行い、適切なフィードバックをしていけば課題解決や人材育成に繋がりやすいということで関心が高まっています。
・「1on1」が注目される理由と望める効果
1on1が注目されている要因として、「離職率を下げる」という点もポイントです。優秀な人材が流出してしまうと企業にとっても成長は遅くなりますし、人材育成のコストもかかります。
多様な意見と働き方への志向を把握して、都度フォローが行える手段として「1on1」が向いていると言われ、下記5点の効果が望めます。
・定期的なフィードバックで学習経験のサイクルが安定して成長を促進
・コミュニケーションの回数が増え、信頼関係が構築されやすい
・現場や部下の現状把握の精度が上がり、マネジメントの効果が上がる
・部下のキャリア形成が適切に行われ、無駄な人材配置が防げる
・部下のモチベーション維持につながり、エンゲージメントが上がる
評価面談との違い
評価面談も上司と部下の1対1の対話、という部分では変わりないですが実施方法と行う回数が根本的に違います。
評価面談の目的は、あくまでも目標やプロセス管理、人事評価を伝えたり、「評価」の話が軸になります。
その中でパーソナルな部分に触れる質問を入れる企業もあると思いますが、「評価」を伝えることが目的のため、4半期に1回や半年に1回など実施回数が数ない企業がほとんどでしょう。
「1on1」は部下の課題や悩みを共有し、その内容にフィードバックをして成長を促すことが目的なので、「話を聴く」という姿勢が軸です。
ですので、実施回数も最低でも1ヶ月に1回など短いサイクルで実施して成長する過程をフォローしています。
また「話を聴く」姿勢が軸のため、対話の内容も評価面談とは大きく変わります。
評価面談の中に「聴く姿勢」を取り入れる企業もあると思います。
それも運用方法としては間違いではないですが、面談時間が長くなったり、1つの面談でやることのボリュームが多くなり、結果内容が薄い面談になりがちです。
それを避けるためにも評価面談との違いを理解して、目的別に対話をする機会を設ける必要があります。
「1on1」の進め方
では実際に「1on1」を行うにあたってどのように進めるべきか、ポイントを絞って解説していきます。
1・目的の明確化と周知をする
まず、議題のないミーティングは嫌われます。
またいきなり、業務改善のため1対1の対話をしたいなどいっても、部下にとっては準備に手間がかかります。
不安や無駄な作業をなくすためにも、事前に「1on1」にはどんな意義や目的があって、部下にとってどんなメリットがあるかを伝えておきことが大切です。
2・日時の設定
これは上司の都合をメインで決めてはいけません。
また、行き当たりばったりで行ってもしっかりした情報は上がっていませんし、疎まれるだけでしょう。
基本は部下のためのミーティングですので、お互いに生産性が落ちないスケジューリングが必要です。
しかし、「1on1」を優先度を高い位置に必ず設定して、キャンセルや日程が延期にならないようにして、定期的に行う仕組みを作っていきます。
3・話すテーマと進め方の知らせる
「1on1」で話す内容は都度変えてその時に必要なことを話すことがベストです。時間も限られているのでなんとなく話すだけでなく、1つでも軸になるテーマがあると良いでしょう。
また事前にそのテーマを部下とも共有することで、より深い会話になるはずです。あと堅苦しい内容にできるだけぜず、ある程度雑談、本題、質問など信仰を決めておくとミーティングの流れも掴みやすくスムーズに進むでしょう。
4・毎回の記録
1on1の大事なところは「信頼関係」を築くことです。
ミーティングの最初は話せる雰囲気に持っていくことも大事ですが、些細なことでもメモをして記録していきましょう。
本題の内容を覚えておくのも重要ですが、雑談も信頼関係につながっています。
部下が以前話した内容を忘れて、同じ質問をした場合「話聞いてないのかな」と思われても仕方がありません。
どんなやりとりがあったかは最低限食い違いがないようにしなければ聞けません。
5・継続的な実施
これは当たり前のことですが、何事も定着させないと意味がありません。実際に人材に関わることは優先順位を高めにするべきです。
実施時間は短くても大丈夫です。15分ほどでも効果はあるでしょう。
とにかく部下との接触頻度が重要です。
はじめたばかりの時は、お互いに上手くできなかったりしますが経験を積むことによって、成果の上がり方は倍になるでしょう。
すぐに成果はあがりにくい施策ほど、後になって大きな結果につながっていきます。
コミュニケーションで起きやすい失敗事例
ここでは「1on1」で起こりやすい失敗をご紹介致します。
・準備不足で会話が生まれない
傾聴の姿勢で臨んでも、目的のない会話は非生産的です。
「雑談だけで終わる」「業務進捗の確認だけ」など、お互いに時間を使っただけになる会話は避けたいところです。
また、「業務以外の悩み相談」は必要な部分もありますが、そこだけに話が集中すると目的からずれる場合もありますので注意しましょう。
・上司の自分語りが多い
部下の育成につながらない話をしてしまうパターンです。
「昔はこうだった」または「部下への指摘ばかり」という会話は成長につながりません。
アドバイスを求められた時でも「私だったらこうする」という返答も、自分語りになる場合もあるでしょう。あくまでも部下を軸に話をして、傾聴の姿勢で問題解決に促すことが大切です。
・上司の話の聞き方が悪い
話を途中で遮って、意見を押し付けたり、質問したりすることは相手の会話を奪っています。それでは「1on1」の意義である信頼関係が築けません。部下のための時間という認識を間違わず、部下が本音で話せる雰囲気を作るために話を聴く姿勢を作りましょう。
まとめ
今回は「1on1」ミーティングの意味とやり方についてご紹介しました。
「1on1」の目的は従業員エンゲージメントを高めて、人材の成長を促進させることです。
対話による信頼関係の構築で育成する方法なので、すぐには効果や成長は実感できませんが、定着してきた頃には離職率の低下による一人当たりの生産性の向上など大きな成果につながります。
実行するためにはマネージャーのリソースが大きく奪われますが、人材が育てばマネージャー業務の効率化も望めます。
ほんの15分ほどのミーティングでも継続すれば変化していきますので、部下との対話を増やしていくことをおすすめ致します。
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