ビジネスでは仮定と検証を求められる場面が多々あります。
例えば上司や取引先からから「〇〇がうまくいかない理由はどこだと思う?」と水を向けられた時、話題の現場を把握していれば、認識している情報をもとに分析が可能ですが、必ずしも知っているフィールドの話題がくるわけではありません。
そんな時に「把握不足でわかりません」だけだと、ビジネスパーソンとしては少し物足りない存在になってしまいます。
そこで今回は、仮定と検証をスムーズにさせる3段思考のお話を致します。
②「第3の〇〇」を思いつくのが掘り下げるコツ
③3点思考のやり方「YES・NOの他にORを発想する」
④まとめ
3段思考とは
3段思考とは、1つのことを3つに分類して論理的に物事を掘り下げる思考法です。
映画監督・小津安二郎氏は次のような言葉を残しています。
「どうでもいいことは流行に従う。大事なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う。」
どうでもいいこと、大事なこと、芸術のことと、 3 段階に分類することで、レベルに応じて判断基準があり、思考はスッキリします。
このように基準を決めておくと自分は何にこだわり、何にこだわらないのかが明確になり、自分が求められるものに対して返答もシンプルになります。
思考の方式や枠組みを3 つのステップで分類すると、自分の考えを整理するのにとても役に立ちます。
なぜ3 段階で分類するとまとめやすいのか、これも3 つで説明してみます。
①世界で起こる現象や事柄は3 つの要素から成り立っていることが多い。
② 2 つでは並列的な関係でしかないが 3 つになると構造を形成する。
③そのため「3 」で説明されると理解しやすく自然に説得力を持つ。
例えば、3つの要素から成り立っている現象や事柄を挙げてみると、
・宇宙(時間・空間・物質)
・時間(過去・現在・未来)
・空間(縦・横・高さ)
・3 原色(赤・青・黄)
・物流(生産・流通・消費)
・戦略の基本3C(カンパニー=自社・コンペティター=競合他社・コンシューマー=消費者)
・マーケティングの3P(プロダクツ=製品・プライス=価格・プロモーション=販売促進)など、
3Cや3Pになると「4Cや4Pもある」と言われそうですが、ここではものごとの仕組みや成り立ちを説明するうえで「3 」は有効な概念であることをお伝えしたいです。
自分の考えをまとめるとき、あるいは人にものごとを説明するとき 3段思考を心がけてみると話が明確になり、説得や交渉の場面などでも力を発揮するでしょう。
「第3の〇〇」を思いつくのが掘り下げるコツ
3段思考を張り巡らせるには以下の3つの方法があります。
【並列的】①②③の横の関係
【階層的】1 位, 2 位, 3 位の縦の関係
【構造的】三角の関係あるいは正,反,合の動的関係
例えばチームワークが問題の組織を3段思考で分析してみます。
チームワークにはさまざまな要素が影響していますので、並列的、階層的、構造的の3段をさらに細分化してみます。
【並列的】な考えでは同等な存在、経営資源の「①人②モノ③金」
【階層的】な考えでは上下左右に展開している存在、ポジションや部署など「①上との関係②下との関係③横との関係」
【構造的】な考えでは、成果に直結する仕組み「①時間②効率③業績」の視点が考えられます。
その中で、チームワークに一番深い関わりがありそうなものを中心に、論理を組み立てていくと、第一に〇〇」がチームワークに悪影響をもたらしていると思います。と頭の中で仮定をたて検証し、打ち手を考えます。
チームワークがうまくいっていない要因が「教育方法」であれば、教育方法を【並列的】【階層的】【構造的】で深掘りすると、
【並列的】人が足りない→なぜか【階層的】上司が忙しくて教育に手が回らない→なぜか【構造的】教育が上がらないとなぜ成果が上がらないか、とそれぞれ課題が明るみになってきます。
そうすると返答として「上の人が忙しくしているために下の者が困っても相談しにくい雰囲気があります。それが結果として残業時間も長くし、業績を落としている一因ともなっているのではないでしょうか」
ここまで原因を仮定してみたらまとめです。
「若手の同僚同士でも協働する風土が失われてきているかもしれません。来週のミーティングではチームワークの強化について取り上げていただければと思います。」
このようにまとめると、チームワークという観点から、教育方法、残業、社内風土の問題点を構造的に捉えることができます。
実際は現場に合わせて、並列的、階層的、構造的の視点は使えるものだけ使っても問題ありません。
どの切り口で考えるのがよいかはケース・バイ・ケースです。
いろいろな場面で試行錯誤を繰り返すうちに自然と思考が慣れてきます。
・話を聞くときの3段思考のコツ
3段思考をしていると、第二第三が思いつかなくなることもあります。
はじめうちはトライアンドエラーでミスをしても繰り返してトレーニングするしかありません。
①それは本当に正しい内容といえるか(テーゼ)
②それと反対の意見はどう表現されるか(アンチテーゼ)
③ 2 つを統合するとどうなるか(ジンテーゼ)
よく会議で、人の意見を聞くといつも「なるほど」と感心するだけの人がいれば、逆に「そんなことはない!」と反論するだけの人もいます。
このような二極化になる要因としてはYES(テーゼ)かNO(アンチテーゼ)かの二項対立に終始し、第三の視点(ジンテーゼ)を考える発想がないからです、
例えば時間が長いだけのミーティングなどは、実りのない議論に終始して長引かせる元凶のような人はおおむね第三の視点がない人、乏しい人ではないでしょうか。
いわゆる頭の切れがよい人は議論が行き詰まるとすばやく発想の転換を促し新しい視点を提供します。
簡単な3段思考のやり方「YES・NOの他にORを発想する」
「第三の視点といわれても簡単には思い浮かばない」と感じる人もいるでしょう。
コツとしてYESとNOの次に「OR」を意識することをお勧めします。
相手の意見に少し変更を加えるとどうなるか、あるいは別のアプローチをしてみてはどうか。
この観点からすれば発想が豊かな人とは「ORをたくさん思いつく人」のことといえるかもしれない。
ブレーン・ストーミング法の発案者アレックス・オズボーン氏のチェックリストも「OR」をたくさん思いつくためのヒントと言えます。
これは既存のものから新しいアイデアを生み出すための9 ヵ条のリストで次のように表現されています。
①ほかに使い道はないか(転用)
②ほかからアイデアを借りられないか(応用)
③変えてみたらどうか(変更)
④大きくしてみたらどうか(拡大)
⑤小さくしてみたらどうか(縮小)
⑥ほかのもので代用できないか(代用)
⑦入れ替えてみたらどうか(置換)
⑧逆にしてみたらどうか(逆転)
⑨組み合わせてみたらどうか(統合)
新しい発想が思いつかなくてもこんな考え方ができるという事例であり、ORを考えるトレーニングに活用できます。
まとめ
今回はビジネスに失敗しない3段思考をお話ししました。
以下の3つの切り口を基本として、1つの物事を深掘りしていくと、仮定と検証を思い浮かべるために役に立つ思考法です。
【並列的】①②③の横の関係
【階層的】1 位, 2 位, 3 位の縦の関係
【構造的】三角の関係あるいは正,反,合の動的関係
また、課題や議題に対してYESとNOの次に「OR」を意識することで新しいアイデアを生み出すきっかけや、煮詰まる会議の打開策にもなるでしょう。
ぜひ普段の業務にも活用し、ビジネスパーソンとして信頼されるマネージャーを目指してみては如何でしょうか。
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