コーチングの活用は人材育成で大変有効です。
極論を言えば、日本海軍の名将「山本五十六」氏が残した「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」。
これはコーチングの真髄を抑えた言葉だと筆者は思います。
教えることを感覚的ではなく自身で理解し、体現できれば間違いなく社員は育つでしょう。
感覚的に掴めても、論理立てて体現出来なければ仕組みとして回らず、組織が成長することはありません。
それは「コーチング」という手段は、使い所の見極めが必要だからです。
今回は、コーチングの意味から実践的な活用法、コーチングが意味がないケースについてご紹介致します。
この記事でわかること
②コーチングの活用法
③コーチングを職場で取り入れるメリット
④コーチングを取り入れても意味がないケース
⑤まとめ
①コーチングの意味とは
コーチングとは「コーチ」から生まれた派生語です。
コーチとはあの有名ブランド「coach」と同じ、馬車です。
馬車は「人が望むところまで送り届ける」という意味があります。
ですのでコーチングの「コーチ」とは「目標達成のために支援する」と言う意味で使われています。
コーチングという手段は、双方のコミュニケーションを通して相手の主体性、いわゆる「やる気」を引き出すことが目的です。
トップダウンの指示や、知識をアドバイスしないところが特徴で問題に対して問いかけて「聴く」という、当事者との対話の中で相手の中にあるアイデアに気づかせて、目標達成のために自発的な
行動を促します。
しかしコーチングでは自発的な行動を促す代わりに、時間と失敗(損害)を代償にして人事を育成します。
コーチングだけでは組織の成長スピードが上がらないので「ティーチング」という強制力のある指導も必要です。
■コーチングとティーチングの違い
ティーチングとは、一言でいうと「与える」です。
上司がもっている知識と技術、経験を相手に教える指導方法です。
マニュアルや教科書を用いて行う、学校教育の方法がこれにあたります。
教える立場と教わる立場がはっきりしているので、質疑応答はありますが、意思疎通は上から下へ基本的に一方通行です。
ティーチングのメリットとして、正解を与えるので緊急性のある目的や業務、スピード感を持って成果を上げなければいけない時には非常に有効です。
しかし、それは全て上司の指示と実行力が成果を左右します。
責任は上司にあり、問題解決も上司が行うのです。
言い換えれば、上司にも部下にも負担は大きいところがあり、成果を上げるだけでイノベーションまで起こすことができない仕組みということです。
つまり、先に説明した自発的行動を促すコーチングと、命令型のティーチングを効果的に使い分けなければ組織として、可能性にチャレンジできない社員「ただの歯車」と化してしまう危険性があります。
コーチングとティーチングを理解し使い分けることで、新たな可能性にチャレンジできる組織が作れるでしょう。
②コーチングの活用方法
ここではコーチングに適したシーンをご紹介します。
■仕事の目標や課題を設定するとき
理由は部下の現状把握ができるからです。
対話を通して、部下の能力が最大限活かせる設定ができるのと、自発的に「できる」というコミットも含まれるのでスタートからゴールまでの道筋も分かりやすくモチベーションを高める効果もあります。
■悩みを相談された時
悩みを相談された場合、コーチングを行うことで芋づる式に問題点を発掘することができ、根本的な問題に一緒に取り組むことができます。
理由は対象者の話を遮らず、上司の経験談も入れず、相手に全て話させるからです。
そうすることによって、本人も気づかなった問題点までたどり着くことが多々あります。
これは頑張っているが伸び悩んでいる部下や、残業が多い部下にセルフマネジメントを促す時にも、コーチングは有効です。
この辺りはクレーム対応と似ていて、相手の感情を吐き出させて論理的な状態になった時、初めて本当の解決策が見えてきます。
これがコーチングの強みです。
■社員に何らかの新しい業務をお願いするとき
事前確認が必要な業務では、コーチングが役に立ちます。
理由は仕事を任せる期待を軸に対話をして、こちらが求める成果と当事者がゴールするイメージが合わせやすいからです。
「あなたは〇〇という部分が優れいる、これを任せたい。
〇〇の成果を狙っているんだけど、どこまでできそう?」など相手が理解しやすい質問と提案で「対話」することが重要です。
大事なのは「話」ではなく対等な「対話」のスタンスです。
③コーチングを職場で取り入れるメリット
指示型のティーチングでは得られない、コーチングのメリットをご紹介致します。
自発的に考えるのはコーチングのメリットですが、それ以外にもメリットはあります。
それは、「やらない業務を選択できる」判断です。
あれもこれも目標達成のためにやってほしい、当事者としてみれば全部やらなければ行けないという、強迫観念にも近い感覚で、業務に取り組んでしまう場合があります。
しかし自発的に問題点に気付いているのであれば、仕事に「優先順位」がつけられるのです。
生産性を高めて一人で組織が求めることを、全部やり切れる人はこの世に存在しません。
圧倒的な成果を出している人は、取捨選択が非常に優れてます。
その感覚は指示型のティーチングでは生まれません。
コーチングが馴染むまで失敗もありますが、それは「報連相」というコミュニケーションでカバーできます。
コーチングに馴染んだ社員が1人でも増えれば、上司の仕事の質も変わります。
なぜなら指示を出す時間が減って、新たな施策を産み出す時間が増えるからです。
これは企業成長に非常に重要です。
マネージャーの本来の仕事は現場の管理だけではありません。
現場から新たな価値を生む、イノベーターとしての仕事が中間管理職の本来の仕事です。
極論を言えばコーチング文化が根付いた現場では、指示型のマネジメントだけでは、あなたは部下に抜かれるでしょう。
コーチングを成功させて、自発的な組織を作る為には仕事を渡す、圧倒的なgiveで部下に成果を出させる意識を持った、上司のスキルアップが非常に鍵を握ってます。
④コーチングを取り入れても意味がないケース
コーチングは場面によっては全く、意味がない場合があります。
効果がないコーチングを回避し、指示型のティーチングと合わせて活用しましょう。
■受け身の姿勢が強い時
コーチングは自発的な行動を促します。
基本的に人が行動するにあたって、必ず「動機」がありそれに基づいてアクションを起こします。
その動機とやってもらいたい仕事が合致するような提案や対話ができればコーチングは有効です。
しかし、対話で深く掘り下げても仕事の成果と働く動機が合致しない時があります。
それは、現状維持で成長を望まない場合です。
企業の中では極端に受け身の姿勢を態度で示す社員は少ないと思いますが、2割ほど一定数この受け身の意識は存在します。
これは集団の法則と言ってどの企業にも当てはまります。
ただ上司が部下に向き合えば向き合うほど、2割以外の社員は受けみの社員に引っ張られず、成果を最大限に伸ばすことが出来ます。
2割の社員が悪い、というわけでは決してありません。
この割合はざっくり言うと、社員のモチベーションの波です。
入社当初、やる気満々だったが1年後受け身になると言う感じです。
逆に入社当初は受け身だったが、1年後は自発的に変わるということも
あるでしょう。
中間管理職はこの動向を把握し、バランスよく一人一人見捨てることなくコーチングのタイミングを気にすることが大切です。
■コーチングする側に能力がない
コーチングする側に能力がない場合、質問そのものに意味がないことが多く、コーチングされる側が混乱します。
この理由は、上司の経験則で会話し、「傾聴」の対話ができていないのが原因です。
社内の管理職がコーチング研修を受けて、導入初期の頃によく発生します。
導入する際は、まず失敗を想定し「対話」すなわち相手の意見も聞くことが重要です。
階級や役職ではなく一人の人材として、対等な立場で話すようにするだけでも効果は変わってくると存じます。
④まとめ
今回はコーチングの活用方法についてご紹介しました。
指示型のティーチングと上手く使い分けれ中間管理職の仕事の幅も広がり、組織の成長を加速させるでしょう。
短期的に達成したい、改善したい業務はティーチングで行い、長期的にスケールさせたい業務や教育は、コーチングでフォローするようなプログラムをまずは取り入れてみると良いかもしれません。
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