最近、叱ることについて躊躇してしまう方はいらっしゃいませんか?
例えば「今まで同じ叱り方をしてきたが世代によって反応が違う」や
「部下が年上でなんだか言いにくい」など、世代や世間的な立場によって指摘の受け止め方が違うため、多様性を求める中で「叱り方」も変化しています。
そこで今回は改めて「叱る」ことを振り返ってみたいと思います。
この記事が自身の現場にあった指導方法の改善につながれば幸いです。
この記事でわかること
②「叱る」目的は成果を出させる事
③まとめ
「叱る」とは
チームにとって好ましくない行動をする部下や、ミスを引き起こす行動を修正するのは、上司として非常に重要な役割です。
「叱る」を辞書で引くと、「目下の者の言動のよくない点を指摘して、強く咎める」とでます。
そのため、「感情を露わにして怒る」「他人の間違いや欠点を指摘する」というイメージを持ち、「叱る」と「怒る」が混同し、メンタルに負担を感じる行為になってしまいます。
そこで正しく叱るためには少し視点を変えてみることが必要です。
「叱る」目的は、部下に現在の行動の間違いに気づいてもらい、よりよくなるためにアドバイスを与えて、部下の行動を変えることにあります。
人格を否定せず、行った仕事に対して「やるべきこと」を伝えるのです。
そう考えると、実は相手を咎めなくてもコミュニケーションの仕方次第で、その目的は達成することができます。
「叱る」目的は成果を出させる事
チームの営業成績がある一人の部下によって伸びない。
取引先に対して大きなミスをしてしまった。
会議資料に重大なミスがあった。
やるべき行動を全くやっていない。
など「叱るべき場面」は日常的にあります。
部下が望ましくない行動をとった時には、「何故そうしたのか?」を、原因がわかるまで丁寧にヒアリングしてみましょう。
部下も自分なりに何か考えがあってしたことかもしれませんし、周りが適切な対処ができていなかったかもしれません。
部下の考え、意見を丁寧に聞くことで、根本的な問題の要因はどこなのか改善すべきポイントが明らかになり、それを発見することで、頭ごなしに叱るよりも早く行動が改善できることもあります。
この過程で部下自身は自分の考えや行動を振り返ることができます。
そのため自らの言動を客観視し、修正すべき点に気づきやすくなるでしょう。
先輩や上司から指摘されなくても、話す過程で自らの課題に気づくことで根本的な原因に対してのアプローチの仕方も自主的になりますし、「自分の意見や考えを聞いてもらえた」ということで、その後のアドバイスも受け入れやすい状態になることもあります。
ここで重要なのはどんなアドバイスや指摘も、相手が「聴く意識」を持たなければ意味を成しません。部下に考えや行動の経緯を話してもらうことで、状況を正しく確認できるだけでなく、相手に「聴く意識」を持ってもらうこともできるのです。
叱るポイントは「一緒に考える」こと
意見を共有して相手がすぐに納得できる時もあれば、納得していないこともあります。
その時は、どこまでが腹落ちしていて、どこから納得できないのかを確認してみましょう。
そして納得できない部分について、企業理念を軸に組織としてあるべき姿、業務で優先すべきことを一緒に考えた上で、部下の意見に沿えること、沿えないことを整理してみると問題点が見えてきます。
ここで部下の意見に沿えないことを躊躇してはいけません。
躊躇してしまうと、仕事に対しての軸がぶれてしまい、通るはずの意見も通らなくなってしまいます。
部下の意見を尊重することと、部下の意見を採用することは違います。意見に沿えなくても、「そう考えたんだね」と受けとめることで、納得感は違ってくるでしょう。
最後の結論である「ではこれからどうすべきか?」は、可能な限り相手と一緒に答えを出し、相手が自身で取るべき行動を自分で選ぶように促すことが理想的です。
部下がどうしたらいいのかわからないようなら指示が必要ですが、結論を出すプロセスに関わったことで、頭ごなしに「こうしろ」と指示されるよりも部下の納得感は高くなります。納得感があればあるほど、行動も変わりやすくなるでしょう。
こうしたコミュニケーションは手間も時間もかかり面倒に感じるかもしれませんが、時間をかけた分、お互いの理解も深まり、信頼関係が築けてその後の仕事のしやすさ、成果も変わってきます。
まとめ
今回は叱る以外の指導の仕方についてお話ししました。
「何故そうしたのか?」と相手の行動や意見や考えを、原因に突き当たるまで聞くことが怒ると叱るを混同しない指導方法です。
たどり着いたその課題に対し、「どうあるべきか?」という自分の意見や、企業としてあるべき姿を伝える。
それを部下が理解できたか、納得できたか確認する。
納得できない点があれば、それを明らかにし、「どうすればいいか」を一緒に考え、答えを出す。
このように部下と双方向のコミュニケーションができれば、相手が自分から誤りに気づき、行動を変えるきっかけを与えるマネジメントができます。
「叱る」=「成果を出させる」というように捉えて指摘よりも、アドバイスに変換していくと苦手意識を克服できるかもしれません。
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