マネージャーは経営陣からも部下からも難題を任されるポジションです。
経営陣からは「これを今日から行う」とトップダウンもあれば
「現場の声を聞いて改善、立案してください」などボトムアップを求められ、一方部下からは「現場の忙しさをわかっていない」や「何とか上が考えて、現場を改善してほしい」など、日々調整役として奮闘していることでしょう。
そこで今回はトップダウンとボトムアップの概念を改めて振り返り、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて解説致します。
それぞれの特性と用途をこの記事で振り返って頂き、現場の最適化につながれば幸いです。
この記事でわかること
②トップダウン・ボトムアップのメリット、デメリット
③トップダウン・ボトムアップを取り入れるときのポイント
④まとめ
トップダウン・ボトムアップは意思決定方式
まずはトップダウン・ボトムアップの前提認識です。
・トップダウンとは
日本語だと「上意下達(じょういかたつ」です。
組織のトップが意思決定を下し、それを遂行するのが下層組織という意思決定スタイルです。
シンプルな伝達方式なので、バイアスがかからず意思決定からアクションまでが早いという特徴があります。
・ボトムアップとは
こちらは「下意上達(かいじょうたつ)」と訳されます。
組織の意見を吸い上げて意思決定するスタイルを指します。
現場の意見を取り入れて意思決定して行くので、実務的な改善をしやすく現場に寄り添った意思決定を行うことができるのも特徴です。
トップダウン・ボトムアップのメリット、デメリット
トップダウン・ボトムアップにはそれぞれ特徴があるように、メリットデメリットも存在します。
・トップダウンのメリット
・意思決定から行動が早く結果がわかりやすい
・組織がブレにくい
・大きな改革がしやすい
トップの意思がそのまま組織の行動方針になるため、社運をかけた大きな決断も基本はトップの一存で実行できます。
伝達のプロセスも少ないため実行スピードは速くなります。
創業当初や新しいプロジェクトを立ち上げる際は、結果を求められる傾向もあるのでトップダウンが向いている場面でもあります。
・トップダウンのデメリット
・反感が生まれやすい
・リスクヘッジが効きにくい
・人望がないと機能しない
トップダウンは組織を自主的に動かさないと機能しません。
「命令で動かすのであれば自主性は必要ないのでは?」と思われるかもしれませんが、人が何か行動に移すには動機が必要です。
その動機が恐怖や圧迫感を与えるものだと、反感を買ったり萎縮して思うような結果となり、成果はでないでしょう。
人をうごかすための動機付けに失敗するとスピード感ある行動が皆無になります。
トップダウンのポイントはトップに人望があるかどうか、能力が信頼できるかどうかが下層組織の動機付けのポイントになる場合がほとんどです。
・ボトムアップのメリット
・現場の最新状況を反映して成果の上がる改善が見込める
・組織のコミュニケーションが活発になる
・意見が言いやすくなるためメンバーの自主性が養われる
ボトムアップの意思決定は、現場の意見をもとに精査されるため、うまく使えば市場の変化をうまく捉え変化対応して行くことが可能です。
また、現場から意見を言うためにはメンバーそれぞれが経営課題に問題意識を持って取り組まないと、自分の意見が言えないためメンバーの自主性が養われチーム全体の成長にもつながります。
このように既存のチームを強くしたい時や、「改革・改善」にテーマを絞ったプロジェクトなどに向いている傾向があります。
・ボトムアップのデメリット
・意思決定から実行までスピードが遅い
・現場のモチベーションに左右される
・大きな変化がとりにくい
ボトムアップはメンバーの意見を吸い上げて行くため、人数も多くなるとやはり精査に時間がかかり意思決定は遅くなります。
その影響で市況の変化を先読みしたチャレンジなど大きな舵を切る際も、メンバーの意思を吸い上げたりモチベーションに左右される場面もあるので、イノベーションを起こす組織が育つまで、大きな変化が望めない場合が多いでしょう。
トップダウン・ボトムアップを取り入れるときのポイント
では実際に現場でピンポイントにトップダウン・ボトムアップを取り入れる場合を具体的に説明していきます。
・トップダウンを取り入れたい時、意識するポイント
メンバーの意見を聞いてから意思決定をする。
トップダウンの意思決定とはいえ必ず、現場に沿っているか否かは確認が必要です。
いわゆる「根回し」と言うのが必要で、メンバーの意見も反映し、それでいてトップの考えや意思が強力に出ることが理想でしょう。
また、トップの考えを日頃から噛み砕いてチームに伝えることも「根回し」の一部でしょう。
メンバーの納得なくしてチームの行動は生まれにくいので、勝手な判断で動くとチームはついて行けなくなってしまいます。
しかし短期で結果を出さなければいけない緊急性と重要性がある意思決定は、早急にトップダウンで対処しなければいけません。
・トップダウンの責任はトップが持つことを開示する
経営者、もしくは意思決定する裁量があるポジションの人材は常に、責任は自分にあることを意識してメンバーに仕事を振り分けなければいけません。
実行はあくまで現場ですが、意思決定の責任はトップにあると言うことを示し、現場には緊張感はありながらも、チャレンジができるように促していけば、信頼関係を築きながらトップダウンが可能になります。
・ボトムアップを取り入れる際のポイント
・部下から上がってきた意見を否定しない
どんなに的外れな意見でも必ず上がった意見は一度受け入れましょう。
意見や提案が潰されてしまうと、徐々に意見が言いづらくなってしまい自主性も育たなければ、コミュニケーションも取りづらくなるでしょう。
チームの意見に異論があれば、
「これはうまくいかない」と否定だけせずに「これはいい考えではあるけど、こういった視点でも見れるよ」など改善する提案を織り交ぜていくと、議論も発展し成長していきます。
・失敗を責めない風土を作る
チャレンジには失敗がつきものです、トライした分だけフィードバックも増えるので成長も早いでしょう。
じっくり準備してチャレンジする事も、もちろん重要ですが市場の変化が早いビジネスの世界ではチャレンジは必須の考え方です。
失敗を最小限に抑え、リトライしやすいようにマネージャーのフォローも必ず必要です。
まとめ|結論はトップダウン・ボトムアップ優劣はなし
今回はトップダウン・ボトムアップについてお話し致しました。
結論はどちらにもメリット・デメリットがあり優劣はつきません。
しかし、多様性が求められる現在はボトムアップを基本として考えた方が市場の流れにのりやすいと考えます。
組織を実務で動かしているのは現場のチームです。
多様性のあるチームが活性化しないと組織の動きも鈍くなります。
トップは俯瞰した位置から現場の意見を参考にして、生きた情報とトップならではの視点で意思決定をすれば、現場は安心してトップに舵取りを任せられるでしょう。
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