組織でコミュニケーションを取る場面は様々ありますが、指示や思惑が上手く伝わらないことが多々あると存じます。
会議報告やプレゼン、人事面談での事実の伝え方や、業務の指摘、褒め方など社内の人物とのコミュニケーションや営業、接客であれば顧客様とのコミュニケーションなど様々なシチュエーションが想定されます。
人間同士のコミュニケーションである以上、何かしらの勘違いやエラーが起こることは仕方ありません。
自分の意思や商品の価値観など、形のないものを相手に伝える行為は、ある程度テクニックが必要です。
今回は言葉の「伝え方」にスポットを当てて、ご紹介致します。
この記事でわかること
②実践しやすい「伝え方」のコツとテクニック
③まとめ
①「伝え方」で抑えておきたい2つのポイント
まず、前提認識として「伝わる」というポイントは相手が「腹落ち」、納得した状態です。
具体的には、こちらの働きかけで相手が行動するレベルです。
相手が部下であれば、業務内容を理解して自分で動ける状態。
お客様であれば、商品を購入するという行動です。
この前提を踏まえて、これからご紹介する 2点を参考にしていただければと存じます。
ポイント1・「相手に何が伝わったか」を意識する、確認する
社内の連絡事項や業務の要点だけなど、「言えばわかるだろう」という意識で相手任せにしてしまってはこちらが求める効果は望めません。
またお客様へのセールスやプレゼンなどで、上手く話そうとしたり「説明を最後までする」ということに意識が向いてしまうと、本来伝えたいことが相手に届かないことがあります。
これは、伝える相手に「何が伝わっているのか」という確認をとっていないことが原因です。
例えば社内のコミュニケーションで、部下に業務を指導した際その場で「手順を復唱お願いします」や「今教えた事のポイントはどこですか?」など、こちらが伝えたいことを理解しているかどうかの確認は必ずしたほうが良いでしょう。
自分が「相手に正しく伝わっているか」という意識を持つと、自然に確認したくなると思います。
多少は手間ですが、業務をやり直すより生産性は遥かに良いでしょう。
またこの「確認する」という意識は部下にも伝わるので、部下の方から、「こうゆうことですか」など自発的な姿勢を引き出すことにも有効です。
これが接客やプレゼンなど、「お客様」が伝える相手であれば「〇〇という点が気に入って下さったとのことですが、実際はいかがですか?」や「ここまでの内容でご不明点はございますか」などお伺いを立てることが、この確認作業に当てはまります。
ここで引き出すべきことは、お客様自身が「イエス」というか自身の言葉で「もう少し、こうなりませんか」など意思決定や要望を、発言しやすいように質問することがポイントです。
ポイント2・「伝えるタイミング」を意識する
変動の激しいビジネスシーンにおいて、スピード感は重視されます。
早急に対応して欲しい案件もあれば、重要な内容を公開するタイミングなどタイミングによっては伝える相手に負担になる場面もあるでしょう。伝えるタイミングは、「発生したらすぐ」がベストです。
出来るだけ早く内容を伝えきったほうが良いでしょう。
理由は後回しにするとスタートが遅く、成果への到達もその分遅くなります。
例えば、問題発生した場面やクレーム対処では対応が遅れれば遅れるほど、損害が大き無なるのは明らかです。
しかし相手にも、仕事や都合があることを忘れてはいけません。
仕事を振る際は優先順位を確認し、やめるべき業務を指示したり期間を調整して組み込めば相手は納得して行動に移せて「伝わった」ということになるでしょう。
問題発生やクレームなどの対応であれば、まず「発生報告」、クレームであれば謝罪も含めて「報告」「行動」を起こしていることを示します。
事実の「第一報」を入れることが重要です。
そして実際の対応、詳細説明の対処などは、相手の都合を把握し順序立てて「伝える」姿勢に移ります。
これが立場が変わり、もしあなたが上司から「緊急的な業務」を振られて優先順位の指示がなければ、こちらから業務調整の提案をすることを強くお勧めします。
無理に仕事を受けてしまって、自身のキャパオーバーになると、企業やそのお客様を不幸にする可能性もあります。
何より自分が壊れてしまうので無理な業務は、自分も部下もさせないように「優先順位を考える」ということが重要です。
まとめると「伝えるタイミング」は「発生したらすぐ」が望ましいです。
しかしその際は、相手の負担や疑問を必ず軽減させる行為がセットということを意識しましょう。
②実践しやすい「伝え方」のコツとテクニック
上手に意見を伝えるためには、日々の積み重ねが重要です。
日常生活でも実践しやすい、伝え方のコツとテクニックをご紹介します。
■伝え方のコツ
相手の前提を理解する
まず、対話の際に必ず抑えたいのは「他人は変えられない」という点です。
その理由は「相手には相手の考え方」があるからです。
自分の価値観と、相手の価値観が必ずしも一致しない可能性がある、ということを認識しましょう。
私たちはコミュニケーションを取る中で、自分の前提で相手に問いかけていることがあります。
必ずしもそれが「悪い」というわけではありませんが、場面によっては全く伝わらないでしょう。
「相手の考え方」と「自分の考え方」の差を埋めないと、適切なコミュニケーションが取れません。
ではその差を見極めるためには、3つのポイントを順番に確認し意識をすり合わせる会話をすることで、「伝わるコミュニケーション」を実現できます。
1・情報
これは相手が日頃接している、「情報のジャンル」を指します。
話す話題に対して、どのくらいの情報差があるかを抑えないと健全なコミュニケーションは取れません。
例えば、経営者と一般社員が会話をするときは普段から触れている情報のジャンルが違いすぎて、会話が当たり障りのない内容になることがあります。
どんな相手でも情報差を把握して、コミュニケーションを取るときは自分が疑問に思っていることを質問して、相手の意見を引き出しましょう。
その意見交換がきっかけになり、情報差のレベルをすり合わせることができます。
ちなみに疑問が浮かばないというのは、別の問題です。
話す相手に興味を持ち、自身が取り組んでいる仕事を理解していれば相手との共通点を見出し、聞いてみたことも浮かぶでしょう。
2・お互いの「解釈力」
例えば、「自社の純利益が昨年より10%上がった」という話題になったとします。
その数字から、その会社が今どんな状況にあるかを理解できるかどうかは、各自がもつ「解釈力」に依存します。
この例の場合は、その業界や経営に関する理解があるかないかで、受け取り方が変わるでしょう。
また解釈力や理解力は「〇〇リテラシー」という表現がされますが、それは「能力が高い」とか「知識が豊富」というだけではありません。
「情報の意味を正しく理解し、応用する、判断能力」というところがリテラシー、解釈力の肝です。
ですのでお互いの解釈力は優劣で判断せず、わからないことは質問し、伝える相手の情報差を把握した上で言葉を選んで話せば意思疎通の乖離は少なくなるでしょう。
3・価値観
よくある「価値観の違い」による失敗は、コミュニケーション不足によるものかと存じます。
先に述べたお互いの「情報差」と「解釈力」を把握すれば、相手の価値観に近づくことができます。
もし近づけなかったとしても、お互いの距離感が掴めます。
落とし所が見つけられることが、上手なコミュニケーションであり伝えたいことが伝わる距離感に発展します。
■伝えるテクニック
1・プレップ法(PREP法)
これはプレゼンとかでもよく言われる、話し方のテクニックです。
PREPとは
R(REASON)理由
E(EXAMPLE)具体例
P(POINT)要点、結論
これは相手が上司、お客様などシチュエーションに関係なく使えるテクニックです。
例えば・・・
【要点・結論】〇〇はおすすめです。
【理由】なぜならば〇〇は生産効率を上げる効果が見込まれるからです。
【具体例】例えば、過去に同じ問題を解決したD社は〇〇を利用することで生産効率を50%改善し売上を1.5倍まで伸ばした実績があります。
【要点・結論】ですので、〇〇を導入することは自社に対してもおすすめです。
このように、要点、結論から話すことによって相手はストレスなくこちらが「伝えたいこと」を理解する準備ができます。
最初に理由や具体例を持ってきてしまったり、くどい言い方だと要点に行くまで、相手の集中力が持ちません。
特に、人間の集中は8秒と言われています。
最初の8秒で、相手の興味を掴むためには「結論」ファーストです。
2・説得力を出す
どれだけプレップ法でトークを組みたたても、具体性がないと効果は半減です。
プレップ法を仕上げるためには具体性を強調します。
具体性を引き出すには、経験した事実やリサーチした内容などです。
プライベートな場面であれば、感情的な表現も有効です。
3・数字を使う
「市場は大きく変化しています」というより「市場は昨年より10%成長しています」と伝えるほうがインパクトを残してイメージしやすくなります。
4・未来を想像できるストーリーをつける
これは最後の一押しで使うと効果的です。
例えばプレップ法の最後の「要点、結論」のパートで「〇〇を導入して生産性が上がれば、新たな事業に参入できてD社よりもシャアを拡大できます」などメリットを付け加えて情景を想像できるようなストーリーを付け加えると、さらに想像しやすくなります。
③まとめ
今回は「伝え方のコツとテクニック」をご紹介致しました。
対話スキルは、意識するだけでも劇的に変わる場合があります。
テクニックで言えばプレップ法です。
口癖のように「結論から言いますと・・・」と言うだけで伝わる確度は変わります。
プレップ法に紐つけて、伝えるタイミングやポイントを肉付けしていくと上達も早いでしょう。
この記事が皆様のコミュニケーションの振り返りにお役に立てば幸いです。
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